第1ステップは、エシカルなスピリット。原点は自分事として自分の生き方を大事にする行動です。「食べ物は命をいただいている、それを食べずに捨ててはもったいない」生産現場に思いをはせる気持ちを大事にする生活文化が基盤です。食品ロス削減の子ども向け図鑑では、「地域を元気に、津鉄(津軽鉄道)を元気に、自分を元気に」と、青森県で75歳で起業し、たった一人で笹を取りもち米から笹餅づくりに取り組む女性農業者桑田ミサオさんの紹介をしました。ミサオさんは94歳で、年間で笹餅5万個を手作りしています。桑田ミサオさんに共感すると、高齢者が頑張っておられるさまざまな農林漁業、生産者の現場が気になります。食べ物を粗末にしないことは自分の生活を粗末にしないことです。食品ロス削減は、消費者市民社会のスタート地点です。「消費者市民社会の構築」は、①消費がもつ影響力の理解 ②持続可能な消費の実践 ③消費者の参画・恊働を柱として消費者庁消費者教育ポータルサイト「消費者教育の体系イメージマップ」に掲載されています。教育というと学校教育での座学を連想されるかもしれませんが、食品ロス削減の「消費者教育」は、子どもから高齢者まで生涯学び、日常生活で実践でき、アクティブで若い世代の関心が高い学びです。食育や環境教育とも関わりながら活性化するステップを確認します。若い世代は、SNSを活用しスマホアプリなどを駆使して、生産者から直接購入しますし、フードシェアリングサービスを利用します。子ども食堂など支援・応援、助け合い、科学的に正確な事実関係を整理し、マッチングシステムをつくれば多様な輪が広がりそうです。第3ステップは、持続可能な地域社会をつくる活動に参加することです。自分の食卓に並んでいる食品ロス削減「消費者教育」で地域から「消費者市民社会」をつくる東京家政学院大学 上村協子第2ステップ、「つながっています」。フードサプライチェーン全体をみて自分の行動を持続可能な社会・食品ロス削減につなぐ仕組みづくりです。消費者庁で2013年度に行われた「食品ロス削減に関する意見交換会」では、「消費者が、自らの消費活動を通じて食品ロスの削減に取り組む事業者を応援するような機運を盛り上げていくことにより、消費者市民社会の実現の一助とする」と「応援する」がキーワードでした。食品ロス削減推進法ができ基本方針が検討される中で、『フードバンク活動から見える子どもの貧困』の著者である一般社団法人全国フードバンク推進協議会代表理事米山恵子氏は、「フードバンク団体の基盤強化への支援」について切実に訴えられ、基本方針には「フードバンク活動は、食品ロスの削減に直結するものであるほか、生活困窮者への支援などの観点からも意義のある取組であり、国民に対してフードバンク活動への理解を促進する。」と記載されました。
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